1/14東京新聞より転載します。

(転載はじめ)
東京電力福島第一原発事故で避難区域外から避難を余儀なくされた「自主避難者」に対する住宅無償提供が、今春で打ち切りとなる。その後の受け皿として、優先入居できる住宅が首都圏で計八百六戸募集されたが、応募や入居は25%の二百五件と低調だ。今後は家賃が必要になり、転居費用もかかる上、厳しい入居要件の壁で断念するケースも相次いでいる。 (中山高志)

 福島県によると、一都六県の打ち切り対象は二千百八十七戸。原則的に三月末で退去を求められる。

 自主避難者の受け皿として、首都圏の自治体が用意したのが公営住宅。東京都と神奈川、埼玉両県が計五百二十六戸を設けたほか、福島県は神奈川、埼玉、茨城各県内の雇用促進住宅に計二百八十戸を設けた。

 しかし各自治体によると十二日現在、都営住宅の三百戸に対し、入居予定が百六十六件にとどまるなど、すべての自治体で応募が低調=表参照。神奈川など三県内の雇用促進住宅では応募が一桁だ。

 低調な理由について、埼玉県の担当者は「今後は有償となるので、ためらいがあるのかもしれない」と推測。都営住宅の場合、毎月の家賃は標準で約一万~七万六千円となる。

 福島県が自主避難した六千世帯を対象に行った調査で、意見が最も多かったのは住宅確保だった。日本弁護士連合会災害復興支援委員長の津久井進弁護士は「住宅支援のニーズがあるのは明らか」と指摘。「転居を伴い、家賃負担も発生する今のやり方だけでは、避難者の実態に見合っているとは言えない。国や自治体は、生活事情に寄り添った支援策を打ち出す必要がある」と話している。
(転載ここまで)

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◆家族要件も厳しく一家バラバラ

 福島県から都営住宅に自主避難する五十歳代の女性の元に昨秋、退去を求める文書が都から届いた。「丁寧に書かれているが、すごく残酷に見えた。結局は出ていけということよね」。新たに都営住宅の優先枠に申し込もうとしたが、家族構成が入居要件を満たしていないため、同居の四人がバラバラになってしまう。

 家族は二十歳代の長女、都立高校生の三男、孫にあたる長女の息子。しかし「ひとり親で、同居は二十歳未満の子のみ」との要件が設けられ、家族構成が合わない。結局、長女と孫しか入居が認められなかった。

 三男は小学生の時に原発事故で都内に転校した。「進路を決める大事な時期。友達もでき、卒業までは今の高校に通わせたい」

 安いアパートを調べているが、家賃が高くて支払いができるか不安だ。「せめて三男だけでも、長女と一緒に都営に住めるようにしてほしい」

<住宅無償提供> 2011年の東京電力福島第一原発事故後、福島県が全国各地の公営住宅などを災害救助法に基づく仮設住宅として借り上げ、県内からの避難者に無償提供してきた。原発事故の避難区域内からの避難者も区域外からの避難者も対象だった。避難区域からの避難者への無償提供は続くが、自主避難者は今年3月で打ち切りとなる。全国の打ち切り対象は約1万500戸。