2018年4月、5月の2回にわたって、区域外避難者の住宅問題をめぐり、行政交渉を行いました。原発事故子ども・被災者支援議員連盟との共催です。多くの国会議員のみなさん避難当事者のみなさんも参加しました。

4月18日に開催された交渉では、被害者の実態把握、国家公務員住宅宿舎セーフティネット使用貸し付け契約、今後の住宅支援についてなどが議題となりました。

東京都、新潟県、山形県がおこなった調査では、避難者の貧困化や孤立化など、深刻な状況が明らかになってきています。避難者の実態把握を求めた私たちに対して、復興庁は、福島県による復興支援員や拠点事業にくる相談によって把握しているとし、主体的に避難者の実態把握を行うとはしませんでした。また、私たちは、避難者の困窮化の実情から、住宅提供や家賃支援などを打ち切るべきではないとするに対して、福島県は、避難者の問題は、「個別化・複雑化している。個別の一人一人事情が違う。個別の事情に応じた対応をはかっている」とし、議論は平行線をたどりました。。

国家公務員住宅に入居している避難者について、4月になって突然家賃の値上げ通告がきた件および貸付期限が来年3月までとなっている件についても議論になりました。

財務省は、「避難者対象の国家公務員住宅の使用については、福島県相手に使用許可を与え、福島県が避難者に対して使用貸し付け契約をしている。福島県と入居者の関係において決定されている」と説明。値上げについては、国家公務員からとる家賃と同じ賃料を徴収しなければならないとし、「法律に基づき、適正な対価を徴収しなければならないとされている」としました。福島県は、いわば、財務省からきた請求書をそのまま避難者に請求しているという形です。

避難者は、「好きであそこにいったわけでもない。何が原因で東京にきたかということを考えてほしい。何もなければ、福島にいた」と訴えました。

私たちは、「避難者は国家公務員ではない。国家公務員と同等の家賃を求めることが“適正”なわけではない。また、福島県は、財務省に払う家賃をそのまま避難者に求めるのか。一部負担すべきではないのか。しかも、4月に入っての値上げ通告はひどい。合意のもとでの契約になるはずではないのか」と訴えました。

同席した弁護士の林治さんは、「福島県がやっていることは、居住者の困窮に乗じて、サインさせてしまうということ。断るのが難しい、立場が弱い人に対してサインを迫る、これは許されない」と発言。

来年3月までの入居期限の延長について、財務省は、「福島県から何らかの意向を示された場合、丁寧に対応したい」と発言。

しかし、5月17日の会合では、福島県は、そうした要請をしないとし、以下のように発言しました。「財務省に対して、使用延長申請は行わない。平成28年度、財務省と協議の結果、やむをえない避難者に対して、所定の使用料をはらってもらい最長2年という経過措置である、この2年で別の住まいを確保してもらおうという趣旨でやっている。避難している人の自主再建のための措置なので、延長をするつもりはない」

しかし、多くの人たちが公営住宅への入居もできず、賠償金ももらっていない中、どのように「自主再建」しろというのでしょうか?

国会議員からは、「避難者は住まいが決まらなければ、行くところはなくなってしまう。子どもたちがいじめにあっている現状があり、簡単に引っ越せない事情もある。“丁寧に対応する”といいつつ、力づくに追い出すのか?」などの発言がありました。

 

また、公営住宅の入居に関して、避難者に抽選を必要としない「特定入居」を認めるべきだという点についても交渉を行いました。

国土交通省は、「公営住宅はそもそも住宅に困窮する低額所得者のためということなので、一律公募原則をとらせてもらっている。特定入居については公営住宅法22条にさだめている。災害によって住宅を失った方々を対象に公募を経ることなく、公営住宅への入居機会を付与するもの。区域外避難者については、家を失ったわけではない」と回答。

私たちからは、「物理的に、自宅の喪失ということが法律できまっているとしても、放射能で被害を受けた住宅は、実際居住することはできず、喪失に該当する」と特定入居を認めることを求めましたが、進展はありませんでした。

国会議員のみなさまも奮闘してくださいましたが、がんばってくださっているのは、いずれも野党議員です。政府は、現在の自公の圧倒的な多数におごり、復興・帰還政策をごり押しし、避難者の切り捨てをやめる気はないようです。

「避難の協同センター」の重要な仕事の一つは、避難者の置かれている状況を、国や自治体に伝え、政策を変えることです。

いままでも、何度も、住宅提供の打ち切りの撤回、原発事故の避難者の実情の把握、直接対話を求めて、政府交渉や申し入れを行ってきました。私たちとしては、国の政策の根本を変えたいと考えているのですが、それと同時に、当面の避難者の窮状を救済することを、粘りづよく求めていきたいと考えています。